「話していると、自分まで少し若返った気がした」
最初に会う日程が決まったとき、率直に言えば少し考える時間がありました。
仕事中心の生活を長く続けていると、初対面の相手とゆっくり食事をしながら話す機会は意外と少なくなります。
楽しみという気持ちがないわけではありませんが、どんな空気になるのかは実際に会ってみないと分かりません。
待ち合わせの場所へ向かう道すがら、会話が自然に続くだろうか、互いに気を使いすぎてしまわないだろうか、といったことをぼんやり考えていました。
待ち合わせ場所に着いたとき、まだ少し時間がありました。
店の前で周囲を眺めながら、こうして誰かと会う約束をして外で待つという時間自体、久しぶりだと感じていました。
合流して挨拶を交わした直後は、やはり少しだけ距離を測るような空気がありました。
席についてからもしばらくは、お互いに言葉を選びながら話していたと思います。
ただ、その時間は決して居心地の悪いものではありませんでした。
予約していたレストランに移動し、しばらくして、最近の出来事や休日の過ごし方のような何気ない話題になりました。
特別な話ではありません。それでも相手が楽しそうに話をしてくれている様子を見ているうちに、こちらの緊張も自然とほどけていきました。
こちらの話に耳を傾けながら、ときどき穏やかな表情で笑ってくれる。
そのやり取りが続くうちに、気づけばこちらも肩の力を抜いて話していました。
最初は会話が途切れないようにと少し意識していたのですが、途中からは特に考えなくても話題が続くようになりました。
昔の出来事を思い出して話しているうちに、自分でも意外なほど言葉が出てくるのです。
相手が自然に反応してくれるので、こちらも構えずに話すことができました。
ふと時計を見ると、思っていたより時間が経っていました。
まだ少ししか話していない感覚だったのに、実際にはかなり長く席に座っていたようです。
そのときふと感じたのが、お相手との年齢差をほとんど意識していない時間だったということでした。
仕事の場では立場や責任を考えて言葉を選ぶことが多いのですが、その日はそういう感覚がほとんどありませんでした。
話していると、自分まで少し若返った気がした、というのはそのときの素直な感覚です。
もちろん、会話の途中で一瞬言葉が途切れる場面もありました。
ただ、その沈黙は不思議と気まずいものではなく、水を一口飲んでまた話が続くような、穏やかな間でした。
無理に話題を作らなくても自然に流れていく時間というのは、それまで思っていた以上に心地よいものでした。
帰り道、見送る駅へ向かいながら最初の緊張を思い出しました。
あのとき頭の中で考えていた不安の多くは、実際には必要のないものだったのかもしれません。
会話の内容を振り返ってみても、特別に準備した話題があったわけではなく、その場で思いついたことを言葉にしていただけでした。
それでも時間があっという間に過ぎていったのは、お互いに無理なく話せる空気があったからだと思います。
大きな出来事があったわけではありません。
ただ静かな席で会話を重ね、気づけば時間が経っていた。
それだけのことなのですが、その日のやり取りは不思議と印象に残っています。
今思い返しても、あの時間にはどこか穏やかな余韻がありました。
もし自分のように少し迷いがあるなら、まずは面談を申し込んで話を聞いてみるところから始めてもいいと思います。
48歳/IT企業経営








