「仕事以外の話で笑える時間が、いまの自分には必要でした」
最初に10カラットのサイトを見つけたのは、夜遅く、自宅のソファでスマートフォンを眺めていたときでした。
仕事の会食や打ち合わせで誰かと一緒にいる時間は多いのに、思い返してみると、心から笑った記憶がなかなか出てこない。
そんな自分に少し疲れを感じていて、「仕事以外の話で笑える時間なんて、しばらく持っていないな」とため息をついた直後に、この交際クラブのページに辿り着きました。
軽い好奇心よりも、「そろそろ自分の時間を取り戻したい」という気持ちが勝っていたのだと思います。
問い合わせフォームに進むまでは少し迷いましたが、偽名で相談してもよいと書かれていたこともあり、まずは話だけ聞いてみようと面談を申し込みました。
その後、スタッフの方から連絡をいただき、都内ホテルのラウンジで面談をすることに。
実際に会ってみると、こちらの状況や希望をじっくり聞いてくれたうえで、仕組みや料金のことも率直に説明してくれました。
「納得できなければ無理に勧めません」とはっきり言われたことで、余計な疑念がほどけていく感覚があったのを覚えています。
入会後は、案内された会員専用ページにログインし、掲載されている女性のプロフィールをゆっくりと眺めました。
写真だけでなく、雰囲気や趣味、好きな時間の過ごし方といったコメントから人柄を想像しながら、「この人なら自然体で話せそうだ」と感じた方を選び、スタッフにセッティングを依頼しました。
希望する日時とおおよそのエリアを伝えると、クラブのスタッフが先方と予定を確認してくれ、後日、決定した待ち合わせ場所と時間の連絡が届きました。
当日は、指定されたホテルのロビーで気持ちを整えながら、女性からの連絡を待ちました。
約束の時間ぴったりに携帯に連絡が入り、目の前に現れた女性は、写真の印象そのままの柔らかい雰囲気の方でした。
初めて会う瞬間はさすがに緊張しましたが、笑顔で声をかけてもらい、軽く挨拶を交わして席に着く頃には、肩の力が少し抜けていました。
食事の席では、仕事の話も触れつつ、学生時代の思い出や好きな映画の話など、久しく誰にも話してこなかったような他愛ない話題で笑い合うことができました。
気づけば時計の針が進んでいて、「もうこんな時間ですね」とお互いに驚いたほどです。
食事の間は、誰かに話す機会がなかったような話題で盛り上がりました。
ふとした冗談で二人とも声を出して笑った瞬間、「ああ、こういう時間が欲しかったんだ」と胸の内で思ったのを覚えています。
途中でタイミングを見て交通費を渡し、その流れで自然に連絡先も交換しました。
次に会う日程は、その場でいくつか候補を出し合いながら決めていき、帰りのタクシーの中で早速メッセージのやり取りが始まりました。
この歳になって新しい一歩を踏み出すのは、正直なところ面倒に感じる部分もありましたが、結果的には、仕事以外の話で笑える時間が、自分の心のバランスを保つうえでどれほど大切かを思い出させてくれました。
大げさかもしれませんが、自分にとっては「誰かと向き合って笑う時間」を取り戻すきっかけになったと感じています。
もしあの時の自分と同じように、忙しさを理由に心の余裕を後回しにしている人がいるなら、一度立ち止まって、自分が本当に欲しかった時間について考えてみてもいいのではないかと思います。
52歳/広告代理店役員

